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京都工芸繊維大学男子ラクロス部

入替戦前ブログ -HC 秋本勇治-

この文章を読んでくださっている皆様へ


弊部ホームページで公開しているものですが、今回の趣旨は現役生たちに向けてなので文体もそのようになっています。

この点、ご容赦ください。



今シーズンのリーグ戦は入替戦を残すのみ。

私が当部に参加してから六年、四回目の挑戦です。


当初は三年で二部昇格、五年で一部との入替戦到達を計画していたのに、人生はままならない。

そして関西学生リーグは甘くなかった。


卒業生の皆さんが他校出身の私に声をかけてくれたのは、競技力向上を求めたからだと思います。

五年前に同じ三部リーグだった複数の大学が二部昇格を果たしている。

この点からも結果で応えていないのは明らかです。


参加当初、卒業生会に「成績を理由に解任するのは三年経ってからにしてくれ」と言いました。

今や言い訳の言葉も見つからない。


昇格という結果が出ないことに加え、家族からは見返りのない活動に見えるようで、

「そんなに責任を感じることなのか?何のためにやっているのか?楽しければ良いじゃない。」と言われることもしばしば。




「何のために」やっているのか。

お金ではないな。

出る方が多いし。


地位や名誉でもないな。

学生選手権優勝ヘッドコーチの名前を知らない人が圧倒的多数だし。(調査済み)


若者を立派な大人に育てるためだろうか。

部を通じた経験や出会いが豊かな人生を送る一助になったら嬉しいけど、俺が人を育てているなんて偉そうなことは言えないな。


勝つためだろうか。

勝てないことの方が多いし、大会は負けて終わるチームの方が多いので、それが無意味とは思えない。


学生たちにとっては、費やす時間と労力を大学の勉強や研究に振り分けた方が得られるものが確かなんだよな。

最近の言葉を使えばコスパ、タイパが良い。

それに対してラクロスを通じて得られるものって凄く不確かで、見えにくくて、合理的じゃないよな。


でも、やめられない。

辞めようと思ったこともない。

「辞めてください」と言われることはあるだろうけど。


リーグ戦に向けて感じる期待と胸の高まり。

リーグ戦で得点や相手の攻撃を封じたときの興奮。

リーグ戦で練習してきたことが表現されたときの感動。

円陣で声が重なったときに感じる心身の震え。

敗れたときに全身から何かが抜けていくような虚脱感。

勝利したときに背中側から聞こえる絶叫。

喜ぶ学生たちの顔を見たときの充足感。

対戦校と勝敗を超えた感情を共有できたときの清々しさ。

卒業生たちと思い出話をしたときの幸福感。


これらは何にも代えられない。

一人では得ることができないものを、たくさん貰っている。

「見返り」はたくさん貰っているんだよね。

学生チームのコーチを長くやっている人は、同じようなことを感じているんじゃないかと勝手に思ってます。




僕らは相対的な価値観から、なかなか逃れられない。

周囲の評価から、なかなか逃れられない。

自分のモノサシを持つのは難しい。


けど、この試合の価値は、相対的でもなく周囲からの評価でもないよな。

みんなが過ごしてきた時間と行動に対する、自分自身による評価だ。

僕にとってはオリンピックよりも、学生選手権よりも価値がある。


残された時間を、そして試合終了まで、みんなで「やるべきことをやる」。

みんなにとって素晴らしい日になりますように。



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